製造業の画像検査におけるDeep Learningの活用例

製造業における検査

情報化が進んだ現代においても、未だに自動車や半導体分野を始めとした製造業は、人々の生活を支える上で非常に大切な産業のひとつです。

その中でも安定した品質を裏で支える「検査」の工程は、産業が多様化した現在ではどの工場においても欠かすことの出来ない重要な工程です。


目視検査について

中でも目視検査は、汚れや傷、形のいびつさなどの「異常」を、製品や検査項目が変わった場合にも、「常識的に考えて」判定することが出来ます。
一方現在では、少子高齢化に伴い人材の確保などに課題があったり、その日の体調や検査員により検査精度が異なるということがあります。
例えば午前中は精度がいいが、お昼ご飯を食べた後だと眠くなり検査の精度や基準が落ちるといった場合もあるでしょう。


画像検査について

そんな中で考案された従来までの画像検査による自動化は、そのような目視検査の課題を解決できました。
その一方で「どこの」「なにが」異常なのかということを懇切丁寧に定義しシステムに伝える必要があります。
多くの場合は少し画像中に影やブレがあったり製品の外見が変わるだけで、判定に大きな狂いが出てきてしまいました。


Deep Learningの登場

そんな中、2012年の画像処理の世界大会において、2位以下を圧倒的に引き離す結果を収め優勝したチームの手法であるDeep Learningが現在大きく注目を集めています。
Deep Learningは画像や動画・音声といった高次元データを扱うことができ、ラベル付きデータを元にその特徴を自ら抽出し分類などを行うことができます。
すなわち、人間が行った判定結果とその画像を元にして、それと同様の判定を行うシステムを作ることが可能となったのです。


Deep Learningを画像検査へ

そこで弊社では、従来までの課題を解決するためにDeep Learningを活用した画像検査システムを、各種事業会社と提携して開発しております。
私たちは、過去に人間が判定してきた分類結果(熟練者のノウハウ)を元に、システムにノウハウを継承させることを目標としています。


Deep Inspection: 判定の理由付け

例えば弊社技術として、単なる正常・異常の分類だけでなく、上記のように異常個所をヒートマップにより表示するようなことも可能となります。
これにより異常の場所や大きさに応じた判定といったことも可能となり、かつ判定結果の理由付けが可能となりました。


Deep Inspection: 人間との共同作業

しかしどれだけ人のように判断を下せるようになったとしても、製造業の現場には99%以上の精度が求められます。
そこで弊社では、従来の画像処理にはなかった発想として、一般的に言われている判定の確率とは異なる「判定の自信度」の実装にも成功しています。
例を挙げると、ある画像を判定した場合の精度が88%(図左上)だった場合に各判定の自信度をプロットすると、自信度が高い(例えば50%以上)判定は99%(図右上)の精度となります。
これにより、自信度の低い判定は従来通り目視検査を行いつつも、対象の大部分に対して高精度での自動化が可能となりました。
すなわち検査員の方は、人間にしか出来ない判別の難しい対象に対してより時間を割くことが出来るようになります。

上記のように、弊社は画像検査にDeep Learningを活用することにより、人間が本当にするべき検査や仕事に十分な時間を割けるよう、これからも技術革新を進めていきます。

Deep Inspection


ここに掲載しているもの以外にも、Ristはパートナー企業の方との共同開発やコンサルティングを行っております。
Ristは今後も挑戦的な課題に取り組んでいきますので、何かございましたらお気軽にお声かけ頂けますと幸いです。

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