AIによる不動産価格査定に関する技術が特許を取得~東急リバブルの査定担当者と同等水準の査定価格をAIが算出~

2024年3月5日

東急リバブル株式会社
株式会社Rist

 東急リバブル株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:太田 陽一、以下「東急リバブル」)と、株式会社Rist(本社:京都府京都市、代表取締役社長:長野 慶、以下「Rist」)は、両社で共同開発した「不動産の価格査定AIシステム」について、令和6年(2024年)2月14日付で特許(特許第7437560号)を取得しましたのでお知らせします。
本システムは、東急リバブルの査定担当者と同等水準の査定価格を算出できる高精度の価格査定AIシステムです。本システムの導入により、査定業務の高度な標準化、査定に係る業務時間の短縮(生産性の向上)を実現し、不動産売却を検討されているお客様に対して、より質の高い売却サービスをスピーディにお届けすることが可能となります。

<特許概要>  
 発明の名称:情報処理システム、情報処理装置、プログラム
 特許番号:特許第7437560号/特許権者:東急リバブル株式会社
 出願日:令和5年(2023年)9月19日/登録日:令和6年(2024年)2月14日

■開発の背景
 不動産の価格査定とは、不動産売買に精通した査定担当者が自らの経験を活かし、市場動向なども考慮した上で、実際に売買された取引事例と比較しながら価格を算出するものです。その査定価格は、査定担当者の経験値や市場動向の捉え方、比較する取引事例の選び方の違いによって差異も生じ得ますが、一般的な査定ルールや社内のチェック体制によってその品質が維持されています。

 査定担当者は、対象不動産や周辺エリア、近隣の取引事例に関する情報を収集・分析し、その取引事例については類似性の評価を行います。そこから全体像を把握した上で、類似性の高い取引事例を選択、重み付けをして査定価格を算出しています。

■AI査定の実現
 本システムは、東急リバブルにおける一般的な査定ルールの適用と、明確なルール化が難しい査定担当者の経験則(暗黙知)による判断、その両方を兼ね備えたAI査定システムです。AIモデルの作製にあたっては、東急リバブル査定担当者が用意した1,000件を超える査定データ(学習用データ)をAIに学習させました。
このように、東急リバブルの査定担当者の知見とRistのデータサイエンティストの知見を活かすことで、業界内においてもトップレベルと考えられるMER値(※1):マンション版1.98 %(※2)、土地戸建版3.88%(※3を実現することができました。
(※1) MER値(Median Error Rate:誤差率の中央値)MER値が小さいほど推定精度が高いことを意味します。
(※2)東急リバブル査定担当者が作製した検証用データ96件による検証結果
(※3)同 95件による検証結果
(※4)AIモデル開発:株式会社Rist

■今後の展開
 本システムを活用し、東急リバブルでは新築マンションの販売において、お客様が所有している不動産の売却資金を充当して物件購入を検討する買換えのご相談に、2023年4月より「マンション版 価格査定AI」、同年12月からは「土地戸建版 価格査定AI」を活用した査定サービスの提供をスタートしており、2024年2月末時点においての22プロジェクトで320組を超えるお客様にご利用いただきました。
 昨今、不動産業界においても様々な業務に対するDX化のニーズが高まり、デジタル技術を活用した各種サービスが開発・提供されております。不動産業界において、当該AI技術を広くお使いいただくために、業種業界を問わず、様々なニーズをもつステークホルダーに対し、外部公開(サービス提供)することも検討して参ります。