インターン生が見た Rist主催 第3回AI勉強会レポート

毎月Rist主催で行われるAI勉強会ですが、今回からインターン生にレポートを書いていただくことにしました。実際にAIを研究している彼らに独自の視点で書いていただくことで、研究理解を深め、さらにRistとしてもパワーアップしていけたらと思います。感想も踏まえて書いていただいていますので、是非とも最後までお読みいただければと思います。

会場のKCCS烏丸事業所。今回も満員御礼。

2019年11月8日(金)、Rist主催となる第3回AI勉強会が開催されました。

私はこの春よりインターン生としてRistの一員となりました井ノ上雄一です。普段は主に画像分類の仕事に取り組んでいます。Ristの勉強会には毎回参加していますが、このたび第3回AI勉強会のレポートを書かせていただくことになりました。どうぞよろしくお願いします。

今回のライターのインターン生、井ノ上さん

まず、今回から司会進行役を務める弊社広報の山田より本日の進行について、さらには新たに導入されたSlidoによる匿名での質問方法とFacebookでのLIVE配信の説明から勉強会がスタート。回を重ねるごとに勉強会自体もどんどんアップデートされています。

Rist代表藤田

弊社代表の藤田の簡単な挨拶のあと、各登壇者の発表へ。3人とも弊社インターン生による発表でしたが、40人以上の方がご参加くださっていました。「AI勉強会」自体の需要の高さが伺えます。

最初の登壇者は弊社インターンに在籍する汐除明さんによる「非情報系(機械・熱工学)の博士課程学生が Mask Scoring R-CNN(MS-RCNN)を動かしてみた」です。第2回のAI勉強会で論文紹介されたMS-RCNNを機械学習のコーディングの未経験の汐除さんが実際に動かすことに挑戦し、その試行錯誤が表れた発表になっていました。有名芸能人を対象とし、ネットからデータの収集、アノテーション、そしてモデルの学習・推論から可視化まで一連の流れがまとめられており、これを参考に実際に試してみたいと思った方も多いのではないでしょうか。実際にMS-RCNNをやってみる上で、汐除さんが特に苦戦したというのは、モデルのセットアップだったそう。そこはPytorchベース物体検知ツールボックス「mmdetection」というdocker imageを用いることで構築することに成功したようです。発表ではところどろこに笑いを誘う場面があり、会場全体の空気を和ませてくれました。

汐除さんの発表が終わると、Rist勉強会恒例の軽食タイムです。今回は二条風詠さんのおにぎりやサンドイッチ、オードブルがずらり。交流会も兼ねたこの時間はご飯を片手にとても盛り上がっており、あっという間の時間でした。

後半も弊社のインターン生2名による発表です。

2番手で登壇したのは林大地さん。「ベイス統計モデリングへの誘い」というなんとも魅力的なタイトルの発表。「気楽に聞いてください」というスタートから一転、数式を使ってベイズ推論の流れをテンポよく追っていく林さんのプレゼンに会場の集中力が一段と高まったのを感じました。説明は、MCMCでサンプリングしてモデルをフィッティングしていく方法、ベイズ推論の問題点へと続き、最後にベイズ推論を行う上での林さんのアイディアで締めくくられました。質問の時間には、藤田社長からの鋭い質問にもしっかりと答えているシーンが印象的でした。

最後は磯西爽太さんによる最新論文の紹介です。タイトルは「Deformable ConvNets v2: More Deformable, Better Results」。Deformable ConvNetsは、主に物体認識やセグメンテーションのモデルで、offsetを用いてConvolution層やPooling層のフィルタのサンプリング領域を動的に変化させて物体のスケールや形に合わせていく技術です。本論文のVersion 2ではまずDeformable層をより多くし、さらにはVersion 1での課題だったRoIの外まで影響が出てしまっていたところを、学習時にR-CNNの結果を教師データとすることでうまく解決していました。磯西さんによると、このDeformable ConvNetsの仕組みは物体認識やセグメンテーションのState of the artのモデルでよく使われる構造なので、Version 2での改良は非常に重要な結果なのだそう。論文中の実験結果からもVersion 2の仕組みを組み込むことで、大きな精度改善に成功していたので期待感が高まる技術だと思いました。

会場からの質疑応答だけでなく、今回はじめて導入してされたSlidoからも多くの質問が寄せられており、とても盛り上がった勉強会となりました。

最新モデルを実際に動かす実践的な発表にはじまり、ベイズ推論からMCMCの基礎理論の解説、そして最新論文の紹介ととてもバラエティに富んだ発表会でした。新しい情報が次々に出てくるなか、1人ではとてもキャッチアップしきれないので、このような様々な技術や知識に触れられる勉強会はとても貴重で、学びが多かったです。

次回の第4回AI勉強会では、スペシャルゲストに奈良先端科学技術大学院大学大学の池田和司教授をお招きしております。日時は12月9日(月) 19:30〜。詳細はこちら。奮ってご参加ください!