
株式会社Rist(本社:京都府京都市下京区、代表取締役社長:長野 慶、以下「Rist」)は、松江土建株式会社(本社:島根県松江市、代表取締役社長:平塚 智朗 以下「松江土建」)が施工を行う「新江川橋 橋梁補修工事」において、AIによるボルト群の腐食判定を実施、ボルト腐食診断工程を自動化するAIシステムを共同で開発いたしました。結果、約3か月を要する見込みの診断工程を約1か月に短縮し、生産性向上を実現しました。
本取り組みは、国土交通省が建設業界全体の生産性向上施策として提唱する「i-Construction 2.0」に沿った、公共インフラ分野での具体的なAI実装事例となります。
■ 本取り組みの背景
橋梁をはじめとする社会インフラは老朽化が進み、全国的に点検・補修需要が増加している一方で、地方の土木建設業界は技術者不足が深刻さを増し、人力に頼ってきた業務の効率化と技能継承が急務となっています。
■現場にあった課題
ボルト腐食診断は、補修工事に先立って交換する必要のあるボルトを選定するための工程です。診断対象となるボルトは約38,000本にのぼり、従来の目視作業では作業員2名で約3か月の期間を要すると見込まれていました。また当初予定よりも工期が切迫しており、ボルト腐食診断フェーズの時間短縮が求められていました。


■腐食の判定におけるAI活用
目視判定は担当者の経験や知識によって精度にばらつきが生じやすく、検査品質の平準化も課題です。AIを活用することにより作業負荷軽減、判定期間の短縮、検査品質の均質化に貢献します。

・AI判定フェーズの概要
| 内容 | 対象ボルト本数/画像枚数 | 期間 |
| サンプル画像によるモデル開発・学習 | 約700本分/画像11枚 | 5月7日~6月2日 |
| 推論・判定 (疑似ラベリングによる再学習含む) | 約38,000本/画像3,700枚 | 6月30日~7月27日 |
・推論・判定イメージ…赤:腐食あり、緑:腐食なし


・精度向上のためのポイント
開発モデルを複数比較し選定、データ拡張・疑似ラベリング等の前処理でモデルの精度改善を実施。また、映り込んだ背景の汚れや文字を認識しないよう、対象となるボルト群の範囲のみを抽出しました。
■成果
ボルト腐食診断工程の分業により、正確さと時間短縮を実現し、早期の補修工事着手に貢献できました。
1:生産性 判定期間を想定の3か月から1か月に短縮し、後工程を2か月前倒し
2:高品質 判定のばらつきを解消し、一定基準での判定を実現
3:安全性 高所・狭所・猛暑下での長時間作業を減らし、身体的、精神的負担を軽減
■Ristの視点~松江土建のAI導入成功のポイント~
取り組み期間が限られる中での多工程にわたるAIの導入には、事前の環境整備や人による確認にコストや手間がかかり、かえって非効率を招くことがあります。本件では、工程を細分化し、どの領域をAIに置き換えれば生産性を向上させられるかを精査したことが成果につながりました。
■松江土建 コメント
松江土建株式会社 土木部工事課 作業所長 須山 尚様
初の現場へのAI活用であり、当初は不安もありましたが、大幅な工期短縮とあわせて社員の働きやすさも実現でき、大きな手応えを感じています。今後は新規構造物など、活用の幅を広げていきたいと考えています。
松江土建株式会社 土木部工事課 係員 福原 伊喜様
猛暑の中での目視による判定作業が、AIの活用によって解放され、時間短縮にもつながりました。AIとのスムーズな分業によって、新しい技術を現場に取り入れる面白さや、仕事へのやりがいも改めて感じることができました。
■新江川橋 橋梁補修工事
新江川橋は、島根県江津市の江の川下流に架かるダブルデッキトラス橋で、上層に国道9号線(江津バイパス)、下層に市道新江川橋線が走ります。本件は上層である「国道9号線新江川橋」の補修工事です。国土交通省 中国地方整備局 浜田河川国道事務所の発注により、2社が担当、松江土建は東側部分の工事を担っています。

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