R-plus+ #04 長野慶 <前編>

Rist staff interview #04 長野慶 <前編> 〜社内メンバーへの想いから意外な素顔まで赤裸々に告白 〜

長野慶 2020年4月〜Rist取締役副社長
京都大学 工学部 電気電子工学科 卒業
京都大学大学院 情報学研究科 システム科学専攻 画像情報システム分野 修了

取締役副社長
大学院卒業後、新卒で保険系IT企業にシステムエンジニアとして就職。2007年7月、Ristの親会社である京セラコミュニケーションシステム株式会社(以下、KCCS)へ転職。国内・海外の企業向けのシステムインテグレーション事業に従事。
2013年3月、KYOCERA Communication Systems Singapore Pte. Ltd.(以下、KCSG)に出向。システムインテグレーション部門の責任者からスタートし、2016年7月に同社取締役に就任。
2019年4月にKCCSに帰任し、京セラグループ向けソリューション部門の副部責任者とKCSGの代表取締役社長(2020年10月まで)を兼務。
2020年4月、取締役副社長としてRistの経営に参画開始。

今回はなんと、副社長にインタビューをお受けいただきました!
あまりにも良いお話ばかりで削ることが惜しかったので、今回は前編後編に分けてお届けします。
前編では、主に経営者目線、Rist副社長としての考え方などをお伺いしていきたいと思います。

まずは、Ristへ参画されることとなった理由、その時の心境をお聞かせください。

長野:昨今、あらゆる製品やソリューションにAIが搭載されるようになっており、IT関連の仕事をしている以上、AIに関する知識を持たないわけにはいかないと思っています。
そのため、Ristへの参画を打診される前から、AIに関する知識は独学で身に着けるようにしていました。
そういった下積みがあったことや、KCCS/KCSGで培ったマネジメント経験、若いメンバーの多いRistに馴染める若さであることなどを評価され、Ristへの参画を打診されたと思っています。
また、大学と大学院では画像処理工学を専攻していました。RistはAIの中でも画像AIをメインにやっていますので、Ristで扱う技術について理解するためのベースは持っています。そういった意味でも任せやすかったのではないかと思います。
Ristへの参画は2020年2月に打診をされたのですが、それまではRistと関わりを持つ機会が全く無く、Ristがどのような会社なのか、情報を持っていませんでした。しかし、特に不安を感じることもなく、「行ったらなんとかなるだろう」という気持ちで、Ristへの参画についてはすぐに快諾をしました。

優秀なエンジニアのパフォーマンス最大化のために

主にどのような業務、役割を担われていますか?

長野:業務としては、事業に関する企画・営業・プロジェクトマネジメント・各種レビューのほか、経理・人事・法務などのバックオフィス全般も見ています。

Ristには非常に優秀なエンジニアが多く在籍しています。優秀なエンジニアが最大限のパフォーマンスを発揮し、その成果がお客様や世の中にきちんと評価されるようになれば、Ristはもっともっと素晴らしい会社になっていくと思います。
それを実現するためのビジネスモデルの確立、対外的PR、職場環境づくり、制度づくりが私の第一の役割だと思っています。

何事においても最終判断しなければならない立場としての判断軸はありますか?

長野:私は過去の経験から、「モチベーションの低いメンバーの仕事からは素晴らしい成果は生まれない」と考えています。逆に、メンバーがモチベーション高く、信念を持って対応する仕事については、仮に失敗するにしても、大失敗にはならないと考えています。
そのため、メンバーがしっかりと考えて作ってきた企画に対しては、ほとんどの場合、OKを出しています。
一方、「適当に作って持ってきたな」と見破った場合にはNGを出します。
もちろん、リスクの評価は行います。リスクを評価し、「このままではうまくいかない」と思った場合には、助言をし、手直しをしてもらいます。ただし、メンバーのアイデアを完全否定することはなく、骨子の部分を残しつつ、改良することを考えます。
実際にその仕事を担当するメンバーが方針に納得をした上で対応を進めることが大事だと思うからです。

では、経営者に必要な能力や資質は何だと思われますか?

長野:リスクがあってもスピーディーに意思決定することが大事だと思います。
そのためには、「自分が尻拭いできるレベルをわかっていること」が必要だと思います。

例えばですが、自分ひとりで2,000万円ぐらいを稼ぎ出す力を持っていれば、メンバーが最大で2,000万円ぐらいの損失を出す可能性のある企画を持ってきても、すぐにGOサインを出すことができます。「思い切ってやってみなさい」と。
もし実際に2,000万円の損失が出たとしても、他のところで2,000万円を稼ぎ出す力を持っていれば、「ごめんなさい」で済むわけです。
これから始めることに対する判断なんて、100%正しく出来るわけがないと思っています。5個あれば1、2個は失敗してもよい、5個トータルで成果を出せればよい、と考え、スピーディーに物事を進めることが大事だと思います。

あとは、トラブルが起きた場合の解決力と責任感ですね。
トラブル無くすべてが順調にいくとわかっているものであれば、そもそも責任者は不要なんですよ。トラブルが起き得るから責任者が必要。責任者の中でも経営者は最後の砦。
経営者は「トラブルが起きたら最後は自分が解決する、責任を取る」という覚悟を持つことが必要です。
経営者がそういった覚悟を公言することで、メンバーは失敗を恐れることなく、新しいことに積極果敢にチャレンジができるようになると思っています。

Ristの副社長になるまでに、様々な経験をされてきていると思うのですが、今までで一番苦労したことはなんですか?

長野:30歳の頃(2011〜12年頃)、中国の天津にある工場に日本製のERPシステムを導入しに行った時の話です。私は経理システムの統括リーダーを担当していましたが、日本製の経理システムを天津の工場に導入するためには、システムの機能の一部を現地の会計ルールに合わせて改修する必要がありました。改修をするためには、ERPシステムの標準の仕様を理解するとともに、現地の会計ルールも理解し、両者の相違点を洗い出すことが必要でした。
しかし、その両方を理解できる人が誰もいませんでした。
中国では地域ごとに会計ルールが微妙に異なるのですが、インターネット上で日本語で中国の会計ルールを検索した場合、あるいは、中国の会計ルールに関する日本語の専門書を調べた場合、そこに書かれてあるものはほとんどが北京のもので、天津の情報は見つかりませんでした。それにもかかわらず、システムの本番稼働時期は予め決まっていて、どうしようもない状態でした。

その時どう乗り越えられたのですか。

長野:「自分がリーダーを務めるプロジェクトは絶対に失敗させない」と強い気持ちで乗り越えました。「リーダーである自分がどうにかするしかない」と考え、天津に出張に行った際に現地の書店で天津の会計教本を購入し、自分で読んで資料を纏め上げました。

すごいですね!プロジェクトの時間も限られている中で大変ですよね。

長野:通勤中も出張の移動中もひたすらその教本を読みました。寝る間も惜しんで読みました。救われたのは、中国語は「漢字」で意味をつかみやすかったこと(笑)
300ページぐらいの本だったと思うのですが、最初の100ページをじっくりと丁寧に読んでコツをつかむと、あとの200ページは結構サラサラと読めちゃいました。
その作業は大変なものでしたが、その努力の結果、システムの本番稼働は無事うまくいき、「KCCSの長野さんの力でプロジェクトが成功した」という噂が客先内でもKCCS内でも広まりました。それがきっかけで「長野さん=海外対応に強い人」というイメージが出来上がり、それ以降は海外関連の仕事ばかりを担当するようになり、2013年にはシンガポール法人KCSGの立ち上げメンバーとして海外赴任する機会も得ました。

並大抵ではない苦労を乗り越えられて今があるんですね。
経営者としての考えや、現在のRist副社長というポジションに至るまでの経緯、背景などについて知ることができました。
後編では、もう少しプライベートなお話と、まだ知らない魅力や人柄が分かるような質問もしていきたいと思います!
また、RistやRistメンバーへの想いも気になるところなので、その辺りについてもお伺いできればと思っています。

それでは後編もお楽しみに!