Rist staff interview #09 竹ノ内 勝哉
竹ノ内 勝哉 2022年2月 入社
京都大学 卒業
2023年3月 Kaggle Masterに昇格
大学時代にインターン生としてRistで様々な画像系AIシステムの開発を経験。
新卒で入社した企業で、ECのアプリ開発とデータ分析業務に従事。
現在は製造業を中心とした画像系AIシステムの研究・開発に携わっている。
今回は、プロダクトチームのリードエンジニアとしてご活躍されており、2023年3月にKaggle Masterへの昇格とRist Kaggle Teamのメンバー入りを果たされた竹ノ内さんにお話を伺いたいと思います。
ではまず、竹ノ内さんがAI業界に興味を持たれたきっかけを教えてください。
竹ノ内:大学時代、研究室の先輩が作っていたトマト収穫AIロボットに感動したことがきっかけです。あとは、単純に流行っていてかっこよかったので(笑)
トマト収穫AIロボット……。具体的にはどのようなロボットだったんですか?
竹ノ内:人がトマトを収穫する時に使う目と脳の部分をAIに置き換えたロボット、というイメージです。ロボットについているカメラが、トマトがどの位置にあるのかを3次元の空間で認識する仕組みになっていました。そのデモを見て、すごいと思って。それが初めて画像認識のAIを見た時でした。
最近ではもっとすごいAIのシステムや技術も出ていますが、当時は新しい技術だったので、魔法みたいだなぁと思ったことを覚えています。
社員と同じように評価してくれた、Ristでのインターン生時代
竹ノ内さんは、大学生の時にRistのインターン生としてご活躍いただきました。
Ristを知ったきっかけと、インターン生に応募された理由を教えてください。
竹ノ内:Ristのことは大学のアルバイト募集掲示板を見て知りました。少し興味がある仕事内容だったこともそうですが、掲示板の中で特に時給が高かったので、応募しました(笑)
時給、学生にとっては大事ですよね(笑)
RistはAIベンダーとして、優秀なエンジニアを育てることを重要視しています。インターン生として来ていただいた方々が、案件を通して成長をしていける環境を整えていて、好待遇や現場経験の機会についてもそういった環境の一つですね。
竹ノ内さんが、インターン生時代に印象深かったことはありますか?
竹ノ内:インターン生でも社員の方と同じように、やった分だけ評価してくれたことです。また、システム開発を行うためにサーバーで大規模な学習を回すため、その分たくさん費用がかかるのですが、Ristではそうした作業も一定の能力がある学生には任せてくれました。個人や大学の研究室では到底できないことなので印象に残っています。
提携先の現場で話を聞く機会に同席したこともありました。自分が想像するタスクと実際に現場で起きている課題にはギャップがありますし、どの会社で何を作るにしても顧客をイメージしておくことは大事なので、学生にもそうした機会を与えてくれたことは有り難かったですし、今の仕事にも活かせています。
当時、インターン生同士での交流もあったのですか?
竹ノ内:打ち合わせやランチなどで、インターン生同士が会話する機会は多かったです。当時インターン生は情報系の院生だらけで、みんな基礎知識があって開発スキルも高い。そんな人たちの近くでインターンをしていたので、技術面で学ぶことは多かったですし、同時にみんな同世代なので自分の未熟さも痛感しました。
あと、覚えていることとしては、雰囲気はとにかく自由で楽しかった。オフィスの卓球台で卓球したり、サッカーやご飯に行ったり、一時は毎日来てましたね。
インターン生時代をRistで過ごされた後、新卒では別の企業で働かれていたんですよね?
竹ノ内:はい。自分が経験したことのない環境に身をおいてさまざまな価値観も学びたかったので、新卒では社員数の多い大規模な会社に入社しました。
主にECのアプリ開発とデータ分析業務に携わり、売上予測モデルの構築などを担当しました。
その後Ristにご入社されて、つまり戻ってきてくださった訳ですが、理由や決め手があったのですか?
竹ノ内:インターン生時代から親しくしているRistの人から、RistにKaggleに強い人が増えていることや、Kaggleで一定以上の成績を収めると報奨金や業務時間内でのKaggle参加が認められる制度(※1)があると聞いて、目標に向かって成長できる環境だと感じました。また、もともとやりたいと思っていたプロダクト開発に今後力を入れていくという話を聞いたことも、気持ちを後押しするきっかけになりました。
※1 Rist Kaggle Team制度についてはこちら
プロダクト開発に興味があったんですか?
竹ノ内:はい。AIを使ったプロダクトを作って、どんどん社会に実装していく、というのはやりたかったことですね。実際にユーザーがどのように使うのか、使われた結果どうなっているのか、という部分に興味がありました。そういった経緯があり、現在は自社プロダクト「RPipe-Image」のリードエンジニアをしています。
やりたかったプロダクト開発に従事されているんですね。リードエンジニアとしての役割と、仕事をする上で大事にされていることを教えてください。
竹ノ内:リードエンジニアは、お客様や社内の上層部からの技術的な質問に対して最初の窓口となり、説明責任を果たす役で、設計や技術選定の面からプロダクトの品質を担保するとともに、プロジェクトの全体を見る役割だと認識しています。
自分はリーダー的な役割になったとしても「俺の背中を見ていけ」というタイプではないので、チームのメンバーとは割とコミュニケーションをとりながらやっていきたいですね。というか、自分より優秀だと思っている人ばかりなので、自分についてきてほしいというスタイルよりも、メンバーと同じ目線を持ちながらリーダーとしての役割を果たしたいと思っています。また、仕事をする上で大事にしていることは、楽しくやることが一番かなと思っています。
普段のお仕事の様子を見ていると、静かに集中されているイメージがありますが、竹ノ内さんなりの仕事を楽しむコツは何ですか?
仕事をしていると大変なこともあると思いますが、このインタビューを見ている方向けにも是非教えてください!
竹ノ内:何もわからない状態が一番つらいので、それをなくすために勉強はするようにしています。勉強していれば、どこかで「これ見たな」とか、「ちょっとだけ理解できるな」ということが増えるので。これは自分のことだけではなく、例えば新しくRistに入ってきた人も、何もわからない状況がとてもつらいと思うので、マニュアルなどの資料を作ったり、一緒に作業できるところはするようにしたり、ということは普段から意識しています。
竹ノ内さんは「RPipe-Image」をどんなプロダクトに育てていきたいですか?
竹ノ内:Ristならではの、そしてこのチームだからこそ生み出せるプロダクトにしたいですね。チーム内にKaggleに強い人がいるからこそ導入できる技術もあると思っています。
例えば、本来はお客様が行うAIの学習やデータのラベル付け作業を「RPipe-Image」の導入によって解決したり、作業時間の短縮化に繋げたりすることです。そのためにはお客様のニーズを汲み取って、きちんと理解することが必要になってくるので、これからもそこはきちんとやっていきたいです。そしてたくさんの受注をいただけるプロダクトにしたい。今の全体のビジョンとしてはそんな感じです。
最新情報のキャッチアップは本がメイン。長い時は1日中、本屋にいます
Ristの好きなところはどこですか?
竹ノ内:ゆとりがあるところです。ルールが緩いという意味ではなく、Ristでは基本的にどんな意見に対しても否定的にならず、許容される雰囲気があります。お互い違う意見でぶつかったとしても、傲慢にそれを押し付けずに議論しながら結果へ導いていく、というか。相手を尊重する文化も自然と根付いていて、お互いに高め合う雰囲気がありますよね。
確かに社内のチャットではオープンに意見交換が行われていたり、誰かが良い意見を言った時はスタンプで賞賛する反応を返したり、フラットにやり取りできる空気感がありますね。今、Ristに必要なのはどういう人材だと思いますか?
竹ノ内:仕事上、難しいことに直面することも多く、議論や協力をしないと解決できないことも多いので、協力できる人は必要ですかね。あとは、みんな優秀で新しい情報を常にキャッチアップしておかないとすぐに置いていかれるので、勉強が苦にならない人かなぁと思います。社内にはすごく沢山論文を読んでいて、その内容を追いかけて理解している人も多いです。そういう人たちとミーティングをしていると、最新情報を取り入れたアイデアが出てきたりするので、自分も遅れをとらないようにしないと、と思います。
竹ノ内さんは最新情報をどのようにインプットされているんですか?
竹ノ内:僕は本を読むタイプです。本屋でいろんな本をざっと読んで、良さそうとか全部読んでみたいと思った本を探します。お気に入りの本屋に椅子が置いてあるスペースがあるので、長い時は1日中いたりしますね。Ristは自己投資に対する支援が充実しているので、仕事に関する本であれば会社に購入申請しています。
常にたくさん勉強されているんですね。お休みの日も本屋にいらっしゃることが多いんですか?
竹ノ内:そうですね。あとは、漫画とかアニメも好きなので毎日何かしら見てます。
ワンピース、スラムダンク、ハイキューとかですね。スポーツとか王道バトル漫画が好きです。
どれもアツい漫画ですね。その中でも特に好きなシーンや、誰かにおすすめしたいシーンはありますか?
竹ノ内:うーん、迷いますね。一つ挙げるとすれば、最近映画が公開されたこともありますが、スラムダンクのワンシーンです。主人公が試合で怪我してコートの外に下げられるシーンがあるんですけど、そこで「オヤジの栄光時代はいつだよ…全日本のときか?オレは…オレは今なんだよ!」と言うシーンです。
まさに全世代に刺さる言葉ですね。Ristの社内にも、漫画やアニメが好きな方は結構多いですよね。
竹ノ内:Ristの漫画・アニメ好きの人たちはみんな自分よりも遥かに詳しくて、この間アニメや漫画の話になった時に話を深掘りされすぎて困りました(笑) 自分はまだまだだな、と思います。
他に趣味はありますか?
竹ノ内:趣味というか、運動は何かしらやっています。先日は仕事終わりにRistのフットサル部の活動にも参加しました。気晴らしにランニングをすることもあります。学生の時は行きたいラーメン屋をゴールにしてランニングしたり、大阪に住んでいた頃は淀川沿いを走っていました。今の目標はフルマラソンを完走することです。
竹ノ内:それ以外はずっと本を読んだり、Kaggleをしています。Kaggleを始める前は、バックパッカーをして東南アジアやヨーロッパに行ったり、他にもいろんな場所に行ったりしていたので、ある意味Kaggleをするようになってから人生の彩はなくなったかも(笑)
Kaggleの1番の魅力は、ソリューションをシェアする仕組みができていること
今ではKaggleが竹ノ内さんの日常生活の多くを占めているんですね。
竹ノ内さんは先日、Kaggle Masterに昇格されて、Rist Kaggle Teamのメンバー入りも果たされました。竹ノ内さんにとってKaggleの魅力とは何ですか?
竹ノ内:世界トップレベルのデータサイエンティストやエンジニアの人が解法を紹介してくれていて、すごい人たちが何を考えているのかを見ることができる点です。
例えば数学ドリルだと答えが1つ書いてあって終わりですが、Kaggleの場合はサイト内のソリューションを公開するコーナーにKaggle登録者の解法が細かく書いてあって、どんな風に考えたのかとか、うまくいかなかったこととか、考えの道筋が見えるところが良いですね。競技人口が多くて、トップランカーが多くて、ソリューションをシェアする仕組みができている。プラットフォームレベルで知識の共有を推奨しているところが、Kaggleの1番いいところだと僕は思います。
竹ノ内さんがKaggle Masterに昇格された時のニュースはこちら
世界トップレベルの考え方がオープンな場で共有されていることは、確かにKaggleの大きな魅力の一つですね。今では世界中に1350万人以上(※2023年5月時点)の登録者がいて、増え続けている理由も頷けます。
AIの技術進歩に、Kaggleは貢献していると思いますか?
竹ノ内:貢献していると思います。Kaggleで公開されているデータセットは充実していますし、データセットごとにライセンスができていて商用利用できるものもありますし。
あとは、有名な学会でKaggleの解法についてのプレゼンテーションが行われていたりもするので、世の中に大きな影響を与えていると思います。
仕事でデータ分析などをガッツリされている方だと、Kaggleのコンペティションに参加することで培われる分析力は、仕事に活かせる部分もかなり大きいんじゃないですかね。
Kaggleのコンペティションには定期的に参加されているんですか?
竹ノ内:時期にもよりますが、機会があれば出るようにしています。興味があるコンペティションを中心に出る人もいますが、僕の場合は出たいタイミングでコンペティションを探すスタイルですね。コンペティションの数重視で挑戦していた時期もありました。
竹ノ内さんのKaggleのモチベーションは何ですか?
竹ノ内:Kaggleのコンペティションで金メダルを獲得できる人は雲の上の存在と言ってもいいんですが、RistにはKaggleが強い人が本当に多くて、メダルを獲得したニュースが社内で流れたりすると、自然と自分も「メダルを取りたい!」という気持ちになります。Ristのいいところですね。あとはKaggleのコンペティションの結果に応じて会社が報奨金を出してくれる制度もモチベーションに大きくつながりますし、Rist Kaggle TeamのメンバーになるとPCサーバーの補助が出る点は本当にありがたいです。(※2)
※2 RistではKaggleを目的とした社内サーバーの利用を認めています。
Rist Kaggle Teamの所属のメンバーには、希望により一人一台GPUサーバーを貸与しています。
インターン生時代から優秀だった竹ノ内さんですが、これからもそのご活躍に期待しています。最後に、AIと社会の関わりでこれから期待することと、今後Ristをどうしていきたいかについて教えてください。
竹ノ内:AIと社会の関わりについては、ヒトがどこかでAIに助けられている社会になったらいいなと思います。これは自分が開発に携わっている「RPipe-Image」の存在をイメージしています。例えば、知らず知らずのうちに身のまわりの製品の品質が上がったり、製品異常がなくなっていて、その裏には「RPipe-Image」の存在がある。具体的には、物をつくる製造ラインに外観検査システムとして「RPipe-Image」が組み込まれている、というイメージです。
今後Ristをどうしていきたいか、という点については先の話と若干矛盾するようですが、誰でも簡単に扱えてしまうオープンな巨大万能モデルでは辿り着けないクオリティのAIをつくり続けて、製造業でAIといえばRist、ひいては日本でAIといえばRistというようなイメージを持っていただけるようになれば、と思います。
インターン生時代から優秀だった竹ノ内さんですが、その裏にはプライベートでも勉強熱心かつ仕事を楽しもうとする姿勢がありました。そして、竹ノ内さんのプロダクト開発に対する熱い想いをお聞きし、改めてRistには志高い人たちが集まっているということを感じました。
インタビューの途中、運動が趣味という竹ノ内さんと筋トレや健康法についての話が盛り上がり、ついついインタビューから脱線する場面もありましたが、それも含めて楽しい時間となりました。
人はいつでも今が栄光時代。次回のR-Plus+もお楽しみに!