連 祉綾(レン・ジーリン)2023年10月 入社
・台湾政治大学英語学科 (専攻:英語と言語学; 副専攻:日本語、教師教育)
・アメリカメリーランド大学カレッジパーク校(University of Maryland, College Park) 大学院修士課程第二言語習得学科 (専攻:第二言語習得)
・アメリカイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校 (University of Illinois, Urbana-Champaign) 大学院博士課程東アジアの言語と文化学科(専攻:応用言語学と言語の教育と評価)
今回は、AIソリューション部 データ分析チームのデータサイエンティストとしてご活躍いただいている連さんにお話を伺いました!
はじめに、連さんがAIに興味を持たれたきっかけを教えてください。
連:大学院在学中に先輩のAIに関するプレゼンを聞いて、その内容に感銘を受けたことがきっかけです。
どんなプレゼンだったんですか?
連:AIを使って学生の英語スキルを分析し、適切なコースに配置するという研究内容についてのプレゼンでした。
当時、私が通っていたアメリカの大学には毎年数千人の留学生が入学してきました。個々の英語能力をリスニング・スピーキング・リーディング・ライティングの観点で評価してから適切な英語コースに配置する必要があり、これを人力で行うという、とても大変な作業が発生していました。
先輩のプレゼンはこれらの評価を効率的・客観的に判断するアルゴリズムを提案する内容で、機械学習のスキルを用いて学生を適切な英語能力レベルに分類できるという内容でした。
なるほど。たしかに数千人分の評価を人力で行うのは大変ですね……。
連:英語能力の評価は採点者の疲労状態や評価者の母国語にも影響されるので、評価が一定にならない場合もあり非常に複雑なんです。
その作業を効率化できる技術ってすごい!と感じ、AIに興味を持つきっかけにつながりました。
大学院でAIに興味を持たれたということですが、それまではどんな分野を専攻されていたんですか?
連:大学時代は英語学科を専攻していました。大学卒業後にインターンシップで英語教師の資格を取得した後は、生まれ育った台湾からアメリカに渡り、大学院では「応用言語学と言語の教育と評価」という分野を専攻していました。
語学や言語教育について勉強してこられたんですね。
連:そうです。大学院では勉強の傍ら、中国語の教師も勤めていました。
今のお話を聞いていると、連さんは一体何ヶ国語話せるのでしょうか……。
連:中国語に加えて、英語、台湾の閩南(びんなん)語を話せます。
まだまだ勉強中ですが、日本語、韓国語、フランス語も話せます。
すごいですね。もともと言語を学ぶことが好きだったんですか?
連:父が海外の顧客と仕事をしていたり、祖父母が日本語と閩南語を話せるということもあって、幼い頃から家では当たり前のようにいろんな国の言語が交わされていました。
なので自然といろんな言語に興味を持つようになったのだと思います。
プログラミングという未知の領域を勉強しはじめた頃、背中を押された言葉
インタビューのはじめに、先輩のプレゼンを聞いてAIに興味を持たれたというお話を伺いましたが、実際に語学の分野からAIやデータサイエンスの領域を勉強されることになった経緯を教えてください。
連:先ほど、大学院の専攻が「応用言語学と言語の教育と評価」だったとお話ししましたが、その中で学生の教育データを扱う研究テーマがあったんです。
研究を進めるためにはデータ分析の知識が必須だったので、その頃から大学院でプログラミングのコースを受講しはじめました。
先輩のプレゼンを聞いてからAIやデータ分析に興味はありましたが、それまで一切触れたことのない分野だったので、最初は勉強についていけるか自信が持てなかったです……。
たしかに、語学の領域を専門とされてきた連さんにとっては新しい分野ですよね。
不安は徐々に解消されていったのでしょうか。
連:はい。当時、私を指導してくれていた教授の言葉で自信を持つことができました。
語学が好きな私に対して、教授は「プログラミングも言葉の学習と同じ。プログラミング言語をコンピューターと話す一種の言語と考えれば、それが楽しくて興味深いものになるよ」と言ってくれて、「人間が使う言語と違ってコンピューターの言語は常に同じだから、プログラミング言語のほうがはるかに簡単でシンプルであるはずだよ」と背中を押されました。
あの時の教授の言葉がなかったら、前向きにプログラミングの勉強に取り組めていなかったです。それに、今こうしてデータサイエンティストとしてのキャリアを築けていなかったとも思います。
連さんと同じようにプログラミングやデータ分析の勉強をするかどうか悩んでいる人がいたら、ぜひ聞かせてあげたい言葉ですね。
連:そうですね。たまたま大学院での研究にデータ分析の知識が必要だったことも含めて、データサイエンティストの道に進めたことは良かったです。結果的に、Ristとの出会いにもつながりました。
最先端の技術に触れられるRistでの仕事は、挑戦の機会も多い
大学院で博士号を取得された後、Ristに入社された理由を教えてください。
連:自分のスキルセットとマッチする企業を探していたところ、エージェント経由でRistのことを知りました。Ristには高い技術力や専門スキルを持つ人が揃っており、私が学んできたAIや統計の分野に関して、その可能性を探求できる環境だと感じました。
日本で働きたいと思った理由は、以前からロボットなどのテクノロジーや美味しい食べ物、四季折々の景色など、日本の文化や風景に興味を持っていたからです。
また、三重県に住む私にとって、フルリモート勤務※ができる点も良かったです。
仕事と生活のバランスがとれる職場環境を望んでいたので、その面でもRistは魅力的だと思いました。
※フルリモート勤務は職種に応じて一定の条件があります。
現在はどのような業務に従事されていますか?
連:プロジェクトで開発したモデルの精度向上のために調査・検証を行ったり、さまざまなトピックに関する研究やコードの実験、スクリプトやプロンプトの作成、一部のデータ分析業務などに従事しています。
仕事を進める中で、楽しいこと・大変なことを教えてください。
連:Ristで取り組むプロジェクトは最先端のスキルや技術が必要とされるタスクも多く、挑戦や興味深い学習の機会があることが楽しいです。
そのぶん分からないことも出てくるので、常に新しい知識を吸収し続ける必要があるのは大変ですが、一人で解決が難しい時はチームメンバーに質問したり、議論をしながら解決するようにしています。
チームメンバーとのコミュニケーションはとりやすいですか?
連:そうですね。Ristでは課題に対して積極的に議論する雰囲気や、知識を共有しあう文化が根付いているので、疑問点を相談しやすい点は非常に助かっています。
まだ日本にきて1年半ほどなので言葉の壁に苦労することもありますが、受け取った内容を翻訳して自分なりに解釈しながら理解に努めています。
仕事以外の時間で業務関連のニュースを追いかけたり、時間がある時はビジネス思考を学べる書籍にも目を通していますが、それに加えて日本語の勉強も頑張っているところです。
今、翻訳なしでインタビューさせていただいてますが、日本に来られて1年半とは思えないほど日本語がお上手ですね。勉強のコツなどはあるんですか?
連:根を詰めすぎるとよくないので、楽しく学ぶことを大事にしています。
たとえば日本語の勉強をする時は、英語や中国語の字幕付きで日本語のドラマやアニメを見て、セリフを言い終える前に日本語で何と言うか予測してみることもあります。
仕事以外の時間もたくさん勉強されていて、お忙しそうな毎日を想像しますが、プライベートでは何をして過ごされることが多いですか?
連:美味しい食べ物が好きなので、時間があればいろんな料理を作っています。
最近はどんな料理を作られましたか?
連:たまに台湾料理が恋しくなるので、先日は台湾の「控肉飯(コンローハン)」という料理を作りました。控肉は日本の煮物に似た味がします。
実際に写真を送っていただきました。
豚肉の塊を甘辛く煮込んだ料理で、日本でもお馴染みの「ルーローハン」に比べると大きな肉の塊を使う点が特徴だそうです。
日本の煮物といえば、肉じゃがも美味しいですよ。
連:肉じゃがも、実は前に挑戦してみました。でもどこか違う味になって……。
ニセ日本料理みたいな仕上がりになってしまいました。(笑)
肉じゃがは家庭によっても味が違いますから、完璧な正解はないのできっと大丈夫ですよ!(笑)
ほかに、趣味などはありますか?
連:趣味とは言えないのですが、家で飼っている猫にいつも癒されています。
連さんの癒しの存在・猫のむぎちゃん。にゃんて可愛いんでしょう。
連:他に好きなことは海外旅行で、これまでにアジアやヨーロッパなどいろんな国を訪れました。
そうなんですね。何ヶ国くらい行かれたんですか?
連:タイ、パラオ、シンガポール、イタリア、ドイツ、スロバキア、ニュージーランドなど
全部で15ヶ国以上は行きました。
新しい文化や環境を体感することが好きなので、また時間を作って旅行に行きたいです。
自分をコントロールすることで新しい環境にも適応できる
プライベートでの海外旅行のほか、アメリカや日本などさまざまな環境に身を置かれている連さんですが、冒険心や行動力があってすごく素敵ですね。
連:たしかに行動力はあるほうかもしれません。ただ、その中でも私は「慎重な行動派」だと思います。行動する前には結構リスクを考慮しますし、安全な方法を選ぶ傾向がありますね。
まずは熟考してから行動するタイプなんですね。
連:そうですね。失敗を避けたがる性格でもあるので、後悔しないように最善を尽くす努力だったり、自分をコントロールすることも心がけています。
たとえば、行動を起こして新しい環境での生活を始めるにしても、苦労することはたくさんあります。そこで走り続けずに、調整することも必要だと思っています。
なるほど。実際にそれを心がけたことで、うまくいった経験やエピソードがあれば教えてください。
連:一つは、大学院時代の経験があります。大学院時代は、初めて自分の居心地の良い場所を抜け出して、外国で学位を取得することに挑戦した時でした。なので、私にとって印象深い時期でもあり、同時に苦労もした時期でした。
大学院に通い始めてすぐの頃、統計モデルのプレゼンを求められたことがあったのですが、当時の私はその科目を学んでおらず、言語や現地の文化もほとんど知らない状態でした。
もちろんプレゼンの進行や結果は散々で、最終的には自分が何を話しているのかさえ理解できなくなってしまって……。その日はとにかく落ち込んだので、家に帰ってからはポテトチップスを食べながら映画を見て、数時間泣きました。(笑)
でも翌日からは切り替えて、教授に改善策のアドバイスを何度も聞きに行き、二度目のプレゼンテーションでは自信を持って対応することができました。
要するに、苦しい時は自分の感情的なニーズに気を配ることも必要で、自分をうまくコントロールしながら失敗と改善を繰り返していくことが大事だと考えています。
なるほど。そうした解決策を身に付けておくと、仕事でもそれ以外の場面でも対処できそうですね。
連:そうですね。日本に来てからも最初は新しい言語や文化に慣れることに苦労しましたが、周囲の皆が友好的で親切なおかげで、今はこの環境を楽しめるようになりました。
ここまで連さんのご経歴や業務内容、プライベートについてもお伺いしてきました。
最後に、仕事における連さんの今後の目標を教えてください。
連:今後の目標は、AIを取り巻く情報に常にアンテナを張りながら、自分に足りない知識とスキルをさらに向上させることです。
その内容について、詳しくお聞かせいただけますか?
連:まず「AIを取り巻く情報」についてですが、ここで私が指しているのは「AIの成熟と同時に浮かび上がってくるさまざまな課題」のことです。
たとえば、AI利用の透明性、公開と機密のバランス、データの利用とセキュリティ、AIアルゴリズムの効率化、エネルギー効率と経済的な側面など、AIの発展に伴って見えてくるさまざまな課題があります。今後AIを推進していくうえで、これらの課題に対する柔軟性が求められる時代になると思うので、常にアンテナを張って情報収集することが大切だと考えています。
それに加えて、プログラミングやデータサイエンスを駆使しながらビジネス価値を創造できる力・課題解決力もさらに向上させたいです。
難しいテーマや最新技術を使った課題に挑戦できるRistだからこそ、創造力を働かせることで、AIやデータのさまざまな活用方法をお客様に提案できると考えています。
これからも日々自分のスキルを磨いて、Ristの事業に貢献していきたいです。
普段お話をしていると、丁寧な受け答えで真面目な印象を受ける連さん。
インタビューを通して、改めて仕事や勉強に真摯に取り組まれる様子や「慎重な行動派」という性格の一面も知ることができました。
やりたいことに対してひたむきに努力される姿が素敵な連さん。これからのご活躍も期待しています!