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R-plus+ #15

都地恭拡(つじ やすひろ)
2023年10月 中途入社
琉球大学海洋自然科学科 卒業
九州大学理学府化学専攻 博士課程修了(理学博士)

今回はAIソリューション部でデータサイエンティストとしてご活躍されている都地さんにお話を伺います!

まずはじめに、Ristへの入社理由を教えてください。

都地:前職では化学・材料の分野を中心としたデータ分析業務に携わっていたのですが、さらに幅広い分野のデータ分析も経験したいと思ったからです。
Ristでは、さまざまな企業のデータ分析に対応している実績があるので、自分も多種多様なデータの分析スキルを磨くことができると考えました。

どのような経緯でRistのことを知りましたか?

都地:前職の頃にKaggle(※1)のコンペティションに取り組んだことがあったのですが、Kaggleランキング上位にいる数名のプロフィールに「Rist」という会社名を見つけて、そこでRistの存在を知りました。
最初は「Ristって一体どんな会社なんだ?」と思っていましたが、HPなどを見て、優秀なデータサイエンティストやエンジニアがそろう会社であることを知りました。

※1 Kaggle:世界最大級のデータ分析プラットフォーム。企業や団体からコンペティション形式で出題された課題に対し、Kagglerと呼ばれるKaggleに登録するユーザーたちが分析モデルの精度を競います。

優秀な技術者がいるということも、Ristに入社を決めた理由の一つだったのでしょうか。

都地:もちろん、そうです。AIやデータ分析のプロがたくさんいる環境で働き、自分も技術的にレベルアップしたいと強く思いました。

Ristでは現在、どんな業務に従事されていますか?

都地:AIソリューション部のデータサイエンティストとして、お客様の課題をデータ分析などを用いて解決に導く仕事に従事しています。時期にもよりますが、今は工場の製造に関わるデータ分析を任されることが多いですね。
また、単純にAIや機械学習を用いて予測を行うだけでなく、データをうまく整理・可視化して、そこから知見を見出すことも、業務の一環として取り組んでいます。

都地さんにとって、新しい領域のデータに触れる機会も多いと思いますが、特に難しかったり苦労される点はどこですか?

都地:新しい領域や業界のデータ分析をするためには、それらの基礎知識を理解する必要があるので、その場面で苦労しています。
例えば、先程お話しした工場の製造に関わるデータ分析の場合、そもそもどの工程でどんなことが行われているのかなど、複雑な製造工程とその中身を理解するところから始まります。
なので、データ分析に行き着く手前のところが結構大変ですね。
ただ一人で作業に行き詰まった時は、同じチームのメンバーへ相談したり、話し合ったりしています。成果を出すために四苦八苦する場面はありながらも、新しいことに対して楽しく挑戦することができています。

   

   

Ristで働く中で、どんなことがモチベーションにつながりますか?

都地:自分が分析した結果や、作成した予測モデルが活用されることで、お客様の仕事の効率が改善されるなど、「自分の仕事が誰かの仕事に影響を与えられる」と想像することがモチベーションに繋がります。
それから、仕事を通して新しい技術に触れられることも楽しいです。Ristには技術力の高い人がそろっているので、日々学びを吸収できている実感があります。

「技術力の高い人がそろっている」という点について、具体的にどのような場面でそう感じますか?

都地:私の部署は、お客様からいただいた依頼をもとにデータを分析して、解決策を提案する業務を担っていますが、一つのデータを見てすぐにいろんな解決手段を提案できる人がたくさんいます。
解決手段の手札を増やすためには、膨大な知識や経験にプラスして、分析対象のデータに関わる専門用語の意味も知っておく必要がありますが、Ristにはそれを蓄えている人が多いです。
しかも、その知識を丁寧に共有してくださるので、Ristには優しい人も多いなと感じます。(笑)

たしかに、Ristでは知見や技術を共有しあう雰囲気が自然と作られていますね。

都地:社内で各チームが勉強会やLT会を開いていますが、時間が合えば参加するようにしています。仕事や案件に直接関連のない話でも知識共有の場が設けられているので、部署の垣根を超えて交流できるところも良いです。

ここまで、Ristで働く人や環境についての話がありましたが、都地さんはRistにはどんな人が向いていると思いますか?

都地:新しい技術に触れることが好きな人ですかね。「必要だから勉強する」というよりも「興味があるから調べてみる」という感覚の人が、Ristには多い印象です。
純粋にいろんなことに興味を持ち、それを調べたり追求することを自然にできる人が向いていると思います。

あとは、自発的に動ける人ですかね。Ristは上下関係に捉われず、誰が提案や意見をしても受け入れてもらえる雰囲気があります。その分、上から指示を待って作業をするというよりは、自ら発信したり、行動できる力が必要です。
これは「Ristに向いている人」とも言えますし、「Ristが求める人」という観点でも同じことが言えますね。

   

   

データサイエンティストになる前は、研究者としてのキャリアを想像していた

では次に、これまでのご経歴についても詳しく聞かせてください。
都地さんは、前職でもデータサイエンティストとして働かれていたんですか?

都地:いえ、もともとは研究職でした。材料化学メーカーだったので、より性能の良い材料ができる化学原料の組み合わせや、より良い合成・製造条件を探したり…… 日々実験を繰り返していました。
正直、データ分析とは無縁だったので、当時は研究者としてのキャリアを積んでいくものだと思っていたんですけどね。(笑)

そうだったんですね。では、前職で働く中で、AIやデータ分析に興味を持つきっかけがあったのでしょうか。

都地:そうですね。社内でプログラミングやデータ分析の勉強会があって、入社2年目の時にそれに参加したことがきっかけです。
その勉強会がきっかけで、AIや統計、情報科学の技術を活用することで材料開発を加速させる「マテリアルズ・インフォマティクス(以下、MI:Materials Informatics)」(※2)と呼ばれる取り組みのことを知りました。詳しく調べてみると、さまざまな研究や開発の加速化が期待でき、これからの時代に必要な取り組みだと思ったので、社内で「MIをやってみたいです!」って提案して、そこから本格的にデータ分析の勉強を開始しました。

※2 統計・機械学習など情報科学の技術を材料開発の分野などで活用する取り組みのこと。膨大な数の実験・論文の解析や、材料・化合物の解析・性能予測などを行う事で、材料開発の効率化・高度化が期待できる。

    

すごい行動力ですね!MIのどんなところに魅力を感じたのですか?

都地:私は研究者として働く中で、情報やデータをうまく活用できないが故に遠回りな実験をしてしまったり、研究者の能力によって成果や開発の進行具合にばらつきが出るケースを見て、実験や研究における非効率な部分を課題に思っていました。

でも、そこにMIを活用すれば、実験の結果をうまく解析できますし、実験の結果を事前に予測することで、実験における失敗の回数も減らせます。
効率的に研究を進めることで、より良いものをより早く開発できる。そうしたMIの可能性に期待が持てたんです。

なるほど。では、データ分析をご自身で勉強されて、徐々に仕事内容もその方面に移っていった感じでしょうか?

都地:そうですね。基本は独学で、あとは社内で少し詳しい人にも聞きながら必死で勉強しました。ある程度の知識が身につくと、材料開発の工程を分析したり、実際の業務にも積極的に取り入れるようになりました。
ありがたいことに、その実績が社内でも認められて、最終的にはMIやデータ活用を進める部署の発足にまで漕ぎ着けることができました。

それは素晴らしい成果ですね!

都地:当時、MIのような機械学習を活用したデータ分析は、社内でも新しい取り組みだったので、もちろん最初はスムーズに受け入れてもらえないこともありました。
でも、MIの先行事例を調べたり、データ解析を勉強しながら、地道に他部門に働きかけました。
研究にMI・データ分析を活用すれば、今よりも短い時間でより良い材料が作れるようになるということを証明したかったんです。

都地さんの熱意ある行動は、社内の人に与える影響も大きかったのではないでしょうか。

都地:そうですね。各事業部の研究開発部門はもちろん、自分が得た知識を周りの社員にも教えるようになって、社内でデータ分析を学ぶワークショップでは講師役みたいなことをしていました。
大学ではデータ分析・統計の知識は皆無だったので、自分でもよくここまで勉強してきたな〜と思います。(笑)

   

   

黙々とコードを書き、仮説を立証しながら解析を進めていく過程が楽しい

都地さんは、Kaggleにも積極的に取り組まれていますよね。

都地:はい。入社して半年経った頃、Kaggleのコンペティションに参加して金メダルを獲得することができました。一緒にチームを組んだRist Kaggle Teamの石さん、二階堂さんからも学ぶことが本当に多くて、今振り返ってもRist入社後で1番の思い出かもしれません。
今はKaggle Masterを目指して、参加できそうなコンペティションを見つけてチャレンジしています。

Kaggleのどんなところに魅力を感じていますか?

都地:ゲーム性があって面白いですし、Kaggle GrandmasterやKaggle Masterといった称号があって、目に見える評価にも繋がるところが魅力だと思います。
それに、Kaggleはコンペティションで成績を収めたらそれで終わりではなく、自分の技術として着実に身につきます。Kaggleを通じてスキルアップできている実感が持てる点も、Kaggleを極めたい!と思うモチベーションになっています。

都地さんの話を伺っていると、学ぶことが好きで、新しい知識の吸収に対しても貪欲な姿勢を感じます。前職でも研究職として業務をされながら、データ分析の独学を頑張ってこられたことはすごいと思いますが、もともと勉強好きな性格なのでしょうか?

都地:うーん、勉強好きというよりは、自分にとってAI・データ分析の分野が単純に好きなんだと思います。

今日一番の笑顔ですね。具体的に、どんなところが楽しいですか?

都地:シンプルに、コードを書いている過程が楽しいです。黙々と解析を進めている時間というか……。その過程で自分はとにかく作業に没頭しているので「没頭している=楽しんでいる」
だと思うんですよね。

あとは、研究者として働いていた時の思考とも似通った部分があると思います。
データサイエンティストと研究者の両方に共通することは、仮説を立てて、それを立証するために実験を行って、その結果をもとに考察して、また次の仮説を立てる……を繰り返すところです。
そうやって何かしらのゴールに向かっていく過程がもともと好きなので、研究者からデータサイエンティストになった今でも、そこにも楽しさを感じています。

確かに「没頭できること=楽しいこと」というのは、一理ありますね。

都地:コードを書いている時に、処理の結果は同じでも、より短縮した書き方を実践できた時とか、
自分の中で「シンプルで読みやすいコードが書けたな」と思う時も嬉しいです。

それに、データ分析を通して、多種多様な業界のさまざまなデータを見られること・知れることは、データサイエンティストの醍醐味だと思っています。
例えば、商品の販売システムに関わるデータに触れたり、ものづくりに関わるデータに触れていると、「このサービスの裏側ってこうなってるんだ」とか「これってこういう工程で作られているんだ」とか、そういう裏側を知れることが面白いですね。

そうした純粋な楽しさの積み重ねが、ここまでデータ分析の勉強を続けてこられた大きな理由だと思っています。

   

   

ここからは、プライベートについてもいくつかお聞きしていきたいと思います。
都地さんは、趣味や特技などはありますか?


都地:高校から始めたバドミントンを、今でも週に1回続けています。社会人サークルに所属しているので、住んでいる家の近くにある学校の体育館で練習や試合をしています。


以前にRistのフットサル部にも参加されていましたが、運動全般が好きなんですね。

都地:運動は好きですね。リモートワークの時も「ちょっとでも体を動かさなきゃ」と思って、昼休みの時間は外に出て散歩したりします。

あと、運動とは別の趣味として、以前は熱帯魚を育てたり、アクアリウムにハマっていました。今は水槽や機材がなくてできていないんですけど……。

素敵な趣味ですね。都地さんは沖縄出身と伺いましたが、それで熱帯魚を見る機会も多かったのでしょうか?

都地:それが、あんまり沖縄と熱帯魚は関係ないんです。(笑)
熱帯魚といっても、淡水の熱帯魚を飼っていたので。さらに言うと、魚がメインではなく、魚が泳ぐ水槽づくりがメインの趣味ですね。水草や木を購入して、水槽の中にレイアウトしていくんです。

   

なるほど。水槽の中に一つの自然を創り上げるイメージなんですね。

都地:そうですね。結構熱中していたので、過去にアクアリウム作りのコンペティションにも挑戦したことがあります。ただ、その時は手違いで参加登録できていなかったので、採用されることはなかったんですけどね。(笑)

   

   

都地さんの今後の目標をお聞かせください。

都地:Rist入社前は、深層学習の知識やコーディング能力はほとんどなかったのですが、この1年を通して、自力で解析のパイプライン(解析のベースとなるコード)をなんとか作れるようになりました。一方で、予測精度をあげるためには、当然パイプラインを作るだけでは足りず、その周辺の解析技術、ノウハウが求められるんですが、そこがかなり重要かつ奥が深いです。例えば、学習・テストデータの分け方や、どのようにデータを加工して使うかなど、挙げ出すとキリがないのですが……。
こうした技術の必要性は、特にRist Kaggle Teamのメンバーを見ていて強く感じたので、日々の業務やKaggleを通して、もっと身につけていきたいです。

それに、予測精度をあげるための技術は、Kaggleで勝つことにおいても非常に重要です。
今後、Kaggle Masterに昇格して、ゆくゆくはRist Kaggle Teamに入りたいという高い目標があるので、それを大きなモチベーションとして頑張っていきたいです。

最後に、これからの社会とAIの関わりで期待していることと、Ristをどうしていきたいかについて教えてください。

都地:AIを活用することによって、業務効率化や人件費の削減といったメリットはもちろん、業界そのものが良い方向に変化してほしいです。
例えば、製造業や材料開発など、ものづくりの現場でもっとAIやデータ分析が活用されれば、いろんなものを生み出す速度も量も増して、結果的に製造業全体の盛り上がりにつながることが期待できます。

Ristをどうしていきたいか、については、強みである技術力に加えて、業界のドメイン知識のアップデートにも取り組んでいきたいです。
AIモデルの実装はKagglerをはじめとするプロフェッショナルが数多くいるので、そこに各業界のドメイン知識が加われば、課題解決力に一層磨きがかかると思います。
そうすれば会社としてもっと飛躍していけると考えていますし、自分もデータサイエンティストとしてそこに貢献していきたいです。

AIやデータ分析の可能性に魅力を感じ、研究者からデータサイエンティストにキャリアチェンジされた都地さん。MIとの出会いから現在に至るまで、データ分析の楽しさをエネルギーに変えてスキルアップされてきた過程や、今後のKagglerとしての大きな目標もお聞きすることができました。
データサイエンティストとしてさらに躍動されていく姿に期待しています!